Web活用

宣伝費は売上を保証しない。でも、なければ何も始まらない。

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宣伝費は売上を保証しない。でも、なければ何も始まらない。

今の時代、WEB活用への投資なしにPRは成功するのか?

「宣伝費は売上の何パーセントが正解ですか?」——この質問を受けるたびに、少し立ち止まって考えてしまう。なぜなら、その問い自体に、すでに大きな誤解が含まれているからだ

宣伝費は、売上を保証するものではない。しかし、予算がなければ、現状は何も変わらない。そして今の時代、その予算の使い道としてWEBを外すことは、もはや選択肢にない。

宣伝費の「正解」を売上高で測ることの落とし穴

一般的に広告宣伝費の目安として語られるのは「売上高の3〜5%」という数字だ。上場企業の統計をにした指標で、業界比較の基準としては一定の意味を持つ。しかし、これを予算設計の基準として使うのは、本来の考え方とはズレている。

宣伝費は損金として計上される費用だ。費用を賄う原資は売上高ではなく、売上総利益——つまり粗利益である。原材料費や仕入れ原価を引いた後に残る粗利益の中から、人件費や家賃と同じように、宣伝費は捻出される。

一般企業における宣伝費の実態として、粗利益の5〜10%程度が使われているというのが、現場感覚に近い数字だ。粗利益率が40%の企業なら、売上高対比では2〜4%に相当する。この視点で考えると、「売上高の3〜5%」という通説がなぜ生まれたかも理解できる。しかし重要なのは、予算を組む際の基準は粗利益であるべきだということだ。


LTVが高いほど、宣伝費の適正割合も変わる

もう一つ、宣伝費の適正割合を考える上で欠かせない視点がある。それがLTV(ライフタイムバリュー)という考え方だ。LTVとは、一人の顧客が取引を通じて生涯にわたってもたらす売上・粗利益の総額を指す。計算式で表すと次のようになる。

LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 取引継続期間 × 粗利率

この視点で考えると、宣伝費——正確にはCAC(顧客獲得コスト/Customer AcquisitionCost)の許容上限は、LTVの範囲内で決まることがわかる。言い換えれば、LTVが高い顧客を獲得するビジネスほど、1件あたりの顧客獲得に多くの宣伝費を投じることが合理的だということだ。

例えば、スポット購入のみで完結するビジネスと、一度契約すると長期的にリピートが続く

ビジネスでは、LTVがまったく異なる。後者であれば、初回の顧客獲得コストが多少高くても、長期的な粗利益の総和で十分に回収できる。だからこそ、リピートや継続取引を生み出すビジネスモデルでは、宣伝費の割合が相対的に高くなる傾向がある——これは無駄遣いではなく、LTVを根拠にした合理的な投資判断だ。

宣伝費の適正割合は、業種や売上規模だけでなく、LTVによって変わる。粗利益の5〜10%という目安も、自社のビジネスモデルに照らして解釈する必要がある。


宣伝費の4つの分類と、それぞれに必要なWEB

宣伝費の内訳は、大きく4つに分類できる。特に中小・中堅企業においては、この分類が実態に即している

リクルート(採用広告・採用サイト)
求人広告、採用サイト、求人情報の発信など、人材獲得のための費用。中小企業においては宣伝費の一部として捉えるのが現実的だ。採用も立派なブランディングであり、求職者はまず企業のWEBサイトや採用専用ページで会社を「審査」する。採用サイトのないまま人材を集めようとするのは、名刺を持たずに商談に臨むようなものだ。

ブランド戦略(CI・コーポレートサイト・パンフレット)
ロゴ・コーポレートカラー・会社案内・WEBサイトなど、企業の「顔」を形成するための投資。かつてはパンフレットが主役だった。今は違う。顧客が最初に触れる接点は、ほぼ例外なくコーポレートサイトだ。そのサイトが古く、更新もされず、スマートフォンで見づらければ——それが貴社のブランドイメージになる。

③セールスプロモーション(広告・イベント・販売サイト)
商品・サービスの販売促進を目的とした施策全般。展示会、チラシ、Web広告、ECサイトや商品ページなど。リスティング広告やSNS広告は今やBtoB企業でも主要な手段だが、広告をクリックした先のランディングページが貧弱では、投資が無駄になる。WEBは広告の「受け皿」でもある。

④ 顧客囲い込み(CRM・ポイント・会員サイト)
リピート促進・既存顧客との関係強化のための施策。ポイントプログラム、ニュースレター、会員専用サイト、CRMツールなど。新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの数倍かかるとされる。それでも多くの企業が既存顧客向けのWEB施策を後回しにしている。顧客が「また使いたい」と思うとき、真っ先に思い出してもらえるデジタル接点を持っているか——それが問われている。


すべての分類に、WEBが必要な時代

気づいてほしいことがある。上記の4つの分類、どれを取ってもWEBが不可欠だということだ。
採用にはWEB、ブランディングにはWEB、販促にはWEB、顧客維持にもWEB。今の時代、消費者も法人担当者も、「認知→関心→行動」のプロセスをほぼすべてデバイス上で完結させている。スマートフォンで検索し、サイトを見て、SNSで評判を確認し、問い合わせをする。その導線のどこかが途切れていれば、機会は静かに失われていく。

「良いサービスや商品に宣伝はいらない」という言葉がある。一面の真実はある。しかし、情報が氾濫し、競合が毎日発信を続けるこの環境で、黙って待つことはもはやリスクだ。届けるべき相手に、届けるべき価値を、届けるべきタイミングで伝える——その設計こそが宣伝の本質であり、WEBはその主戦場になっている。

問題は、宣伝費の「総額」ではなく「配分」だ

宣伝費を粗利益の5〜10%確保していたとして、その内訳はどうなっているか。紙のパンフレットに多くを割き、展示会の出展費用を確保しながら、WEB関連の予算は「なんとなく少ない」という企業は少なくない。コーポレートサイトは5年前に作ったまま、採用サイトはない、商品ページはスマートフォンで見づらい——それでも「宣伝費はちゃんと使っている」という状態になってはいないだろうか。

宣伝費は、使えば売れるわけではない。どの施策に、いくら使うか——その設計が結果を分ける。そして今の時代、その設計においてWEBへの配分が薄ければ、他の施策の効果も十分に発揮されない。

WEBは「あれば良いもの」から「なければ機能しないもの」に変わった。それは、宣伝費の配分の見直しが必要だということを意味している。


貴社の宣伝費、WEBに正しく投資できているか

改めて問いたい。貴社の宣伝費の内訳を、今すぐ確認してほしい。

  • 採用サイトはあるか。スマートフォンで快適に閲覧できるか。
  • コーポレートサイトは直近2年以内に更新されているか。
  • Web広告を出しているなら、その着地先(LP・サービスページ)は整備されているか。
  • 既存顧客と継続的にデジタルで接触できる仕組みがあるか。

これらのどれか一つでも「ない」「整っていない」と感じたなら、宣伝費の配分を見直す余地がある。問題は予算の多少ではなく、その使い方だ。

宣伝費は売上を保証しない。しかし、正しく設計されたWEB投資は、すべての宣伝活動の土台になる。その土台なしに、どれだけ広告費を積んでも、水は器に溜まらない。